たなぼた弁当

日々、昼飯は会社の食堂で食ってます。
が、今日はなぜか弁当があります。
別に誰かが自分用に作ってくれたとか、目覚めて自分が作ったとかそういうものでは、まったくもってない。
じゃぁなんで弁当があるのか。
しかもかなり気合い入って作られている弁当である。






本日は水曜日。
彼と彼女にとっては水曜日は弁当の日と決まってるらしく、いっつも彼とは食堂に行くのだが、水曜だけは弁当なのである。
それはもう周りも知ってる事で、朝玄関で会った時の彼女の手には弁当があり、「お、今日も作ってきたんだね」などと思った。

朝はたいてい喫煙所でみんなでタバコ吸ってぬぼーっとしてるんだけども、いつも俺より早く来てるはずの彼がいない。
「はて？最近なかったけど久しぶりに寝坊して出遅れたか？」とか「腹痛くてトイレ篭もってるか？」など思ってたが、結局始業時間になっても現れなかった。

電話も来ないので、別の奴が彼に電話をかけたところまだ寝てやがった。
ちょっと席はずして戻ったときには、彼はもう有給取ることになってた。ちなみに今日はうちの部署の歓送迎会があり夜は飲み会。
しかも俺は幹事なので急に欠席は困る…。
ということで電話変わってもらって、




「今日何休み"にした"の？体調不良？用事？体調不良なら世間的にもフォロー入れとくが。」


「いや、用事で休むことにした。」


「じゃぁ夜来るの？来ないの？ていうか急にこねーとかいうの許せないから来やがれ」


「うん、行くよ。」


「ていうかてめー今日弁当じゃねーの？持ってきてたぞ」


「あぁ…。晩飯だな(苦笑)」


「俺しらねーぞ(笑)」




などと言うやりとりをして電話を切った。
この時点で彼女は今日休みだと知らず、「あぁ、なんていっとくか。寝坊して休んだとか知ったらブチ切れるだろうなぁ…」と思った矢先、彼のグループのリーダーが彼女のところに行き「今日彼は休みだって。」「え！？具合悪いとか！？」「いや寝坊(笑)」とかいう会話をしてた。

うわぁ…言っちゃってるよ…。
怒るだろうなぁ…。




それから1時間もしないうちに彼女から俺にメールが来て、




「お弁当食べませんか？」


「え、食ちゃっていいの？」


「うん(^^)　寝坊してる奴の事なんて知らないし(^^)　かなり怒ってるんですけど(^^)　もう絶対作らない(^^)」
「せっかく作ってきたんでもらってください」





(^^)←が非常に怖いんですが…。
確かに作ってきたの捨てるのもやだろうし…、「(^^)」なんての使われたところに「いや結構です…」とは言えなく、やらかしたのあいつだしな…などと思っていただく事に。

そんなわけで昼に食ったんですが…。

ちょっと、まじでうまいし。
あいつこんなの作ってもらってて忘れるとはバカか…。
などと考えながらも、俺に作ってきたわけじゃないから複雑な気分…。
食い終わったあとすっきりしませんでした。

せめてあいつが昼に来てればこんなことにはならなかったんだろうけど、夜の飲み会はさすがにダメージ受けてた。
あとはがんばって謝ってください…。

にしても全くその怒りを表面に出さず仕事していた彼女が、余計怖いところを感じた…。



それはそれとして、誰かが作った弁当なんての食ったの、俺いつ以来だ？などとさみしい事も感じた。